通水管|「オレらがいなかったら、うめえ魚は食えねえよ」

  年明けの築地市場(東京)を彩る「初セリ」が、最後の年を迎えた。1935年に日本橋から移転して開場した築地市場は、戦中から戦後の高度成長期、そして現在まで日本の食を支え、「築地ブランド」を確立した。今年10月に豊洲に移る予定の「築地通水管」。その記憶と文化は、どう受け継がれていくのか。築地とともに生きてきた“住人”たちに聞いた。(文・鈴木毅/動画・ASHI FILMS/Yahoo!ニュース 特集編集部)まずは初セリの活気と、関係者ら想いを動画(約6分)で見てほ通水管しい。市場用語で「大物」と呼ばれるマグロを扱う卸売・中卸業者にとって、築地の一年は恒例の生鮮マグロの「初セリ」から始まる。1月5日、セリ場に並んだ生マグロの数は436本。不漁だった昨年の約1.5倍になった。今年も不漁が心配され通水管たが、年末になって天候が回復し、ふたを開けてみれば例年並みの数が確保できた。セリに参加する仲卸業者たちは、まず、並んだマグロの獲れた場所、漁の方法などの情報を確認し、外見をチェックする。そして手カギと懐中電灯を持ち換えながら、尻尾の断通水管で脂の状態を見たり、腹の切り込みから身の状態を見たりして、目当てのマグロを見極める。これこそ彼らにとって勝負どころ、「下ヅケ」と呼ばれる事前チェックだ。実際に切ってみなければマグロの最終的な良しあしは分からない。それだけに、彼通水管らのセンスと経験値による“目利き”がものをいう。生マグロ専門の“名手”仲卸業者たちがマグロの前に屈みながら一本一本、丹念にチェックするなか、セリ場をぶらぶら歩いているだけのように見える長身の男性がいた。時折、足を止めてマグロを通水管見やる。そして、後ろを付いて歩く若者に一言、二言、話し掛ける。会場をパトロールしているかのようだ。彼の名は、小川文博さん(64)。生マグロ専門の仲卸「西誠」の社長だ。同業者も一目置く、その道44年の“名手”である。築地の水産部通水管門で600弱の仲卸業者がいるなか、マグロ仲卸は200程度。そのうち生の天然マグロだけを専門に扱う業者はほとんどいない。小川さんはとにかく「生」にこだわり、冷凍モノや養殖モノには一切手を出さない。後ろの若者は息子の和宏さん(30)だ。